大阪都構想と住民投票 〜その意味は何だったのか?〜
6月28日、西鉄イン福岡で開催された「にしてつグループワーカーズ協議会」の学習会で、とちぎ義博が「国と自治体の関係について-大阪都構想と住民投票」と題する講演で使用した資料の抜粋を掲載します。わたしは今回の講話を通して、市民の暮らしを直接支える基礎自治体の役割の大切さを再確認することができました。
資料 「大阪都構想と住民投票〜その意味はなんだったのか?〜」PDF
[名称]大都市地域における特別区の設置に関する法律
[目的]道府県内の関係市町村を廃止し、特別区を設けるための手続、特別区と道府県の事務の分担、税源の配分、財政の調整に関する意見の申出に係る措置について定めることにより、地域の実情に応じた大都市制度の特例を設けること
[対象]①人口200万人以上の指定都市 ②指定都市と隣接する同一道府県内の市町村の人口合計が200万人以上(参考)平成22年度国勢調査によると、福岡市は県内の隣接市町を加えても197万人で対象外。※①横浜、名古屋、大阪 ②札幌、さいたま、千葉、川崎、京都、堺、神戸
大阪都構想(目的)
大阪市を廃止して、中核市程度の権限と財源を持ち、公募制の区長を置く5つの特別区を設置(現行24行政区を改編)し、従来政令指定都市である大阪市が有していた権限・財源を、法と条例に基づいて、広域に関わるものを大阪都に、基礎的なものを特別区に分離するもの。
知事に一元化されたスピード感のある意思決定、国や民間に対する府の発信力強化、「経済成長戦略」や「戦略的インフラ整備」など長期的視野にたった広域行政、二重行政の根絶による節約など府市統合効果で強力な広域行政の実現や公選区長・区議会のもと、住民の声を反映した地域にあった住民サービスを実現できるとしていた。
広域行政の一元化
- 戦略の一元化 (例:成長戦略の一元化、企業や施設などの集積促進)
- 広域機能の一元化 (例:府市病院・港湾の一体的運営、府市立大学の統合など)
- 二重行政の解消 (例:出資法人、公設試験研究機関の統合など)
- 大都市マネジメント力の向上 (例:スピーディな政策決定、政策決定責任の所在の明確化、経営資源の最適化、投資の一元化によるロスの解消など)
最適規模の住民に身近な基礎自治体の確立
- 住民応答性の充実 (例:公選区長が住民の提案を自ら受けるなど)
- 区役所マネジメントの充実強化 (例:本庁協議なしに区で実行可能など)
- 住民に身近な行政の実現 (例:区の実情を踏まえたまちづくりが可能など)
- 総合的なサービスの提供 (例:区の提供サービスが7倍以上に拡大など)
※大阪府・大阪市特別区設置協議会「大阪における大都市制度の制度設計(パッケージ案)
【統括】」による
大阪都構想(効果額)
大阪都構想(二重行政の解消)
住民投票が示したものとは何だったのか?
自治のあり方を住民投票で決した
- 自らのまちについて自らで判断
- 民主党大阪府連「市民の行政への関心と責任感の高まりをもたらした点で意義あるもの」(但し、不毛な対立が地域コミュニティに拡大)
- 道府県と政令市の仕事が重なる「二重行政」について、住民に直接解消策を問うた意義は大きい(西日本新聞社説)
※「大都市地域における特別区の設置に関する法律」の制定→地方が上げた声により、国会が動き、法制度が変わった!
今の「大阪市」がなくなることについての拒絶感
- まちとしての一体感を失う
- 身近な区に現在より大きな権限を持たせると言っても、多くの権限はより遠い府(都)に行ってしまう
争点の明確化ができなかった
- 都構想によるまちの将来像が見えない
- 都構想による経済効果があいまい ・橋下政治の評価、橋下市長の信任投票になった