福岡市議会の代表派遣・米国アトランタ市との 姉妹都市締結10周年記念式典に
福岡市と米国アトランタ市の姉妹都市締結10周年記念式典が双方の都市で開かれるため、私を含む7名の議員が福岡市議会を代表して派遣され、11月16日午後、同市に到着しました。
アトランタ市は、南部アメリカの代表的な都市で、南北戦争後にジョージア州の州都となり成長し続けています。あの名作「風と共に去りぬ」の舞台の地であり、ジミー・カーター元合衆国大統領や人種差別撤廃・公民権運動に生涯を捧げたキング牧師の地元。24時間ケーブルテレビCNN、コカコーラの本拠地もこの街にあります。
福岡市とほぼ同じ緯度に位置し、ほぼ同じ面積に約50万人が居住。10周年式典には、福岡市の経済団体の皆さんも参加、福岡市議会訪問団はアトランタ市議会代表と意見交換しました。
また、わたしたち訪問団は、ジョージア州議会議事堂を見学。地元の高校生たちが、上院下院の本会議場で討論を実施中でした。民主制は手続きのうえに成り立つという政治教育の現場を目撃。選挙権が18歳まで拡大した日本。手付かずであった政治教育のあり方を深く考えさせられました。
2日目の17日。シーザー・ミッチェル議長など担当するアトランタ市議会議員らと都市交通の現状と課題について意見交換しました。同市内の走る路面電車を環状に結ぶLRTと呼ばれる新型の路面電車の交通網を整備するとともに、市街の再開発を進めるベルトライン計画を明かしてくれました。
福岡市とアトランタ市の姉妹都市締結10周年を記念して、それぞれの都市の商工会議所による経済セミナーなど様々な式典が開催されました。締め括りは、カシム・リード市長と高島市長が相互協力で共同スピーチ。
ジョージア州立の公民人権センターは、アトランタ市など南部アメリカのみならず、米国社会の光と影の歴史を赤裸々に教えてくれます。米国内外の差別者やその扇動者を実名写真つきで解説するなど徹底ぶりには驚かされました。公機関による社会理念の徹底と差別構造の現実との開きの大きさを際立たせてもいました。
最終日の18日。アトランタ・ベルトライン計画の実際について、民間鉄道の廃線跡地を再利用する路線予定地などを視察。路面電車のLRT整備(また路線に並行するトレッキング道整備も)、運営を目的とする100パーセント市出資のベルトライン社の担当者から説明を受けました。
路線延長36キロメートル、事業費43憶ドルで、計画期間25年間のうちすでに10年が経過しているとのこと。整備費用のうち約20パーセントの目処がついておらず、また運行後の経費についても運賃収入だけでは賄うことができないが、それを埋め合わる財源も定かではないようです。
同計画は前途多難な様子に見えましたが、徐々にではあれ住宅、商業施設など沿線開発が進み、同計画が目に見えてきたと思えるのはアトランタ市民にとって光明なのかも知れません。
多難な道のりが窺えますが、車社会の弊害を認め、公共交通によるまちづくりに乗り出す流れは米国アトランタでも始まっていました。